重火力迎撃
通常攻撃: 最大5段の攻撃で敵に自然ダメージを与える。操作中のオペレーターの場合、重攻撃はブレイク値17を与える。 落下攻撃: 空中で通常攻撃を使用すると、落下して周囲の敵に自然ダメージを与える。 終撃: 近くにブレイク状態の敵がいるときに通常攻撃を使用すると、その敵に終撃を行い、高い自然ダメージを与えてSPを一定量回復する。
オクギはアーツユニットを使う術師オペレーターで、自然属性のダメージを与えることができる。

通常攻撃: 最大5段の攻撃で敵に自然ダメージを与える。操作中のオペレーターの場合、重攻撃はブレイク値17を与える。 落下攻撃: 空中で通常攻撃を使用すると、落下して周囲の敵に自然ダメージを与える。 終撃: 近くにブレイク状態の敵がいるときに通常攻撃を使用すると、その敵に終撃を行い、高い自然ダメージを与えてSPを一定量回復する。
目標の足元に砕玉領域を展開し、範囲内の敵に自然ダメージを与え、さらに自然付着を付与する。
破晦陣を生成し、範囲内の敵に自然ダメージを与える。 破晦陣内の敵が終撃または操作オペレーターの重攻撃を受けたとき、破晦陣がその敵に集中攻撃を発動し、範囲ダメージを与える。(最大2回まで発動) 集中攻撃が2回発動すると、必殺技は破晦訣明に切り替わる。 破晦訣明:前方広範囲の敵に自然ダメージを与える。

培養室配属時、鉱物素材の培養速度+20%
昇進段階1で解放

培養室配属時、鉱物素材の培養速度+30%
昇進段階3で解放

培養室配属時、晶植素材の培養速度+20%
昇進段階2で解放

培養室配属時、晶植素材の培養速度+30%
昇進段階4で解放
連携技「応龍四式」強化: ダメージ倍率が1.3倍までアップする 陣訣・知:自身の戦技が牢獄状態の敵に命中したとき、SPが追加で10返還される 陣訣・意:自然脆弱と寒冷脆弱効果がさらに+6%
知性と意志+15、アーツ強度+16
素質「研ぎ澄ます」強化: 自身が付与する腐食効果の持続時間がさらに+5秒、ダウンさせる最大耐性値が追加で20%アップする
必殺技「破晦」に必要な必殺チャージ-15%
必殺技「破晦」強化: 陣訣・知:必殺技の期間中、16%のアーツ増幅を獲得し、必殺技2段目「破晦訣明」のダメージ倍率が1.3倍までアップする 陣訣・意:必殺技1段目「破晦陣」と2段目「破晦訣明」で付与する自然脆弱と寒冷脆弱効果がさらに+7%、必殺技2段目「破晦訣明」を発動したあと、連携技「応龍四式」がクールタイム中であれば、即座にCD時間30%を回復する
【コードネーム】オクギ 【性別】女 【身分証明】応龍特殊部隊 【誕生日】7月7日 【種族】リーベリ 【鉱石病感染状況】 メディカルチェックの結果、非感染者に認定。 【能力測定】 物理強度:標準 戦闘技術:優秀 戦術立案:卓越 アーツ適性:優秀
オクギ、本名は「李織煙」。宏山科学院応龍特殊部隊の作戦隊長であり、武陵北部封鎖区域での作戦行動中に負傷し、長期療養を認められた。応龍特殊部隊の特別許可のもと、エンドフィールドと協力関係を結んでいる。 「オクギさんによると、今回は初めての長期休暇とのことです。医療オペレーターが行った検査の結果、数十カ所に及ぶ内部損傷が見つかりました。侵蝕環境の最前線に身を置いていた彼女の精神は非常に強靭ではありましたが、肉体は蝕まれ続けていたということでしょう。宏科院関係者からも、この機会に心身を休めてほしいという意向を伝えられました――『この数年間に取るべきだった休暇を、一気に消化してほしい』とのことです。」 ――エンドフィールド人事アシスタント マーティン・マーヴィン・マーレン
隊長とチェン・センユーについて?俺も詳しいわけではない。当初、2人の仲は悪くなかったと聞いている。選抜試験の期間中には、組んでいたこともあったらしい。候補生の中でも一際目立っていて、2人は応龍関を守ることになるんだろうと誰もが思っていたそうだ。だが、結局今は……顔を合わせるたびに喧嘩するか、喧嘩寸前か、そのどちらかだ。知っての通り、隊長は一歩も譲らない性格だ。最終的に、隊長だけが選抜を通過し、2人は別々の道を歩むことになったが……もしチェン・センユーも応龍に入っていたなら、どうなっていたかは想像もつかない。それに、隊長は隊長で変わるはずがない。彼女が隊長と一緒に任務に出るなんてことになったなら……下手をすれば、数日中に異動辞令が出るかもしれない。傍から見れば、アツ先生と隊長の判断は間違っていなかった。今の状況が、あの2人にとっては一番いい結果なんだろう。 ――応龍隊員 ミネ 隊長が重砲を扱う技術は、応龍で習得したものではない。以前、私が尋ねたときは、父親が遺した「形見」だと隊長は言っていた。ある時期、隊長は壁にぶつかり、武器を次々と替え続けたことがあった。刀、槍、剣、戟、斧、鉤――ありとあらゆる得物を一通り試し、どれも見事に使いこなしていた。様々な武芸を瞬く間に習得したが、隊長は決して満足することなく、まだ一段上へ進めていないと考えているようだった。そのために幾倍もの厳しさで自らを鍛え上げた……隊長が持ちこたえられるのかと、誰もが案じていた。そんなある時、隊長は父親が外部に預けていた重砲を見つけ出した。珍しく数日の休暇を取った隊長が、どこへ行ったのかは誰も知らない。だが戻ってきた後、あの数門の重砲を使うことを決めていた。そして、それからは今とほとんど変わらない。武陵に駐留する隊員の中で、隊長の相手になる者は1人としていない。 ――応龍隊員 コト 噂はあくまで噂だって。確かに昔の手合わせだと……オクギが……まあ……ちょっとだけ上だったかも。だけど、今のあたし、前とは全然違うんだから!もし今戦うってなったら、最初の三手は譲れるよ。うーん……やっぱり二手で。心配いらないって、ただの稽古だし。昔のオクギはいっつも眉間にしわ寄せてて、なんか重い石でも背負ってるみたいな……でも今は封鎖区域での「宿願」も果たして、前とはちょっと変わったかな。うん、なんか最初に会ったときに戻ったみたいな感じかなあ。でも、何回聞いても封鎖区域でのこと、全然教えてくれなくってさ。管理人に聞き続けるわけに……うーん……まあ、できなくはないかも。 ――応龍特殊部隊元候補 チェン・センユー リ・チーエン?ああ、応龍の小娘のことか。これといって特別な印象もないのう。あやつは頑固者じゃ、見ておるこっちのほうが窮屈になってくる。「代理人」とだけ呼んでくるものじゃから、何度も注意して、名を呼ぶよう改めさせたのだが……まったく、つまらぬやつよ。あやつの生なぞ、たかだか百年ばかりの短きもの。あれほどの才を持ちながら、堅苦しく杓子定規な生き方を選ぶとは……ほんに退屈そうじゃ。しかし……近頃はどうも、少し変わったようじゃな。顔つきもだいぶ柔らかくなりおった。まあ、ようやくほんの少しだけ興味が湧いたとでも言ってやるか……それで、あのうつけ者がまた何かしでかしたのか?ふむ、あちこち駆け回った挙句、傷だらけになりおって。今度ばかりは、そう易々と逃がしはせぬぞ。 ――スー
「彼女を冷淡で無情だと感じることもあるだろう。だが、それは応龍特殊部隊にとって必要な資質だ」――リ・チーエンに対する周囲の評価は、いたって単純なものだった。 リ・チーエンのあらゆる行動は、「任務の完遂」の一語で説明がつく。応龍の任務は、常に極限の環境で行われる。冷徹で揺るがぬ実行力こそが、任務達成を支えるものとなるのだ。「生きて帰る」が任務目標に含まれていないとき、それが何を意味するのか――隊員なら、誰もが知っている。 特殊部隊には暗室が1つある。警備はこの上なく厳重で、そこに収められているのは情報資料の類などではない。隊員一人ひとりの「形見」だ。正式に応龍の一員となったその瞬間、隊員には1つの箱が割り当てられる。中に何を納めるかは、各自の自由だ。もしも任務中に帰還できなくなったとき、その箱の中身が、自分がこの世に存在した唯一の証となる。 リ・チーエンの箱は、空っぽだった。 彼女は暗室の管理係にこう告げた。自分には何もない。かつて持っていたすべては、あの封鎖区域に――あの漆黒に凍てつく霧の下に埋もれてしまったのだと。 これは応龍の規則だからと管理係に告げられて、彼女はようやく考え始めた。いったい何が、自分自身を表しうるのか。応龍の作戦隊長という肩書きを外したとき、箱に納められるものなど、はたして残っているのだろうか。そして――「私」とは、いったい誰なのか。 だが、この問いが彼女を悩ませた時間も、さほど長くはなかった。彼女は市場の老師範を訪ね、筆で自分の名前を書き記すと、それを箱に納めたのである。 こうした問いなど、どれも重要ではない。重要なのは、いつだって次の任務――ただそれだけなのだから。 ………… 彼女が暗室を訪れることは、ほとんどなかった。だが近頃は、度々足を運んでいる。そして空っぽだったあの箱の中に、いくつもの品を残していった。あるときは1本のペン、あるときは1個のボタン、あるときは一振りの匕首……どれもこれも、まるで机の上から無造作に持ち帰ってきたような、ありふれた、そしてこれといった意味もなさそうな品ばかりだ。その中には、隣人から贈られた品もあれば、人から託された証の品もある……彼女はそのどれもを、まるで大切な宝物を扱うかのように、箱の中へと納めていった。 管理係が興味をそそられて尋ねてみると、彼女はいつものように冷ややかに黙り込むことはなく、少しばかり考えてから、真剣にこう答えたのだった―― 「振り返ってみて、ようやく気づいた。私は大切にすべき多くのものを、見過ごしてきたんだ。」
私の戦闘方法か?元をたどれば、父から教わった陣と、応龍の戦術に由来している。 父はこう言っていた――陣は「変」を理とする。人は陣の勢いを借り、陣は人に従って動く。いかなる陣も、決して不変ではない。自らを「陣」の一部とすることが、陣を完成させる鍵なのだ、と。 幼い頃、父は私をあちこち遊びに連れて行ってくれた。丸太に乗って流れを下ることもあれば、高くそびえる木の上に登ることもあった。遊び疲れれば、草の上に寝転んで満天の星を眺めた……父は私に、星の位置を覚え、星座の形を見分けるようにといつも言っていた。後になって気付いたが、これはただの「遊び」ではなかった。父は陣への、そして満ち欠けし移ろう万物への理解を、私が気付かないうちに染み込ませてくれていたんだ。 一方、応龍が私に授けたのは「不変」とは何かということだ。風雲がいかに移り変わろうと、私は泰然として動じない。応龍の戦法は常に「勢」を主とする。勢が成れば、千鈞の重さにも抗える。置かれた状況によって応龍の取る戦術も変わるが、剣術であれ槍術であれ、部隊の配置であれ、応龍では、常に各々が己の役目を全うし、一騎当千をの働きをなす。 私は、応龍の戦術と父から授かった陣を融合できないかと考えた。応龍の戦法は全体を重んじ、大局を見据えるもの。いわば、三門の重砲を一体とみなし、互いの不足を補い合うものだ。父の陣法は、流れるような靭やかさと、千変万化の動きを要とする。この2つを融合させるのは難しく、長く悩んだ…… そして再び、かつて父と「遊んだ」あの場所に戻ったとき――集まった落ち葉が激流を渡り、枝の先にとまった羽獣が風に揺れ、絶えず動く星座がその形を保つのを見て――私はようやく、父が語ったことの真意を悟った。欠けていた鍵は「私」であり、私自身が陣における第四の駒だったんだ。 私は、陣の変転をつなぎ、戦術の空隙を補う存在にならなければいけない。それを理解してから、自らを陣と融合させ、玉簡をもって砲の動きと火力を調整するようになった。そうして初めて、数門の重砲が手足のように、意のままに操れるようになった。 私のアーツは、エネルギーの「流動」を重視し、範囲内に「変」と「不変」の均衡領域を作り出す。ギルベルタのアーツと似ているところがあり、彼女からは過程におけるコツを共有してもらった。それから、アークライトにも教えてもらったことがある。彼女の電流制御の腕はまさしく最高峰と言えるが、その助言はたった5文字――「感じること」。帝江号には優秀な者が集まっている。私が学び、吸収すべきものはまだ多くある。ラストライトには技をねじ伏せるだけの力があり、ポグラニチニクの軍略への理解は、まさに至高の域に達している……帝江号で過ごすこの期間を通じて、自らの技を研鑽し、皆の長所を取り入れたい…… 心得を冊子にまとめることも試みている。同じく陣と重砲を修める隊員たちが、練習の参考にできるように。彼らの助けに、少しでもなればと思っている。
【受取記録】 受取人:リ・チーエン 差出人:リンユエ 発送元:武陵城 受領状況:受領済み 検査状況:検査通過 音声メッセージ: チーエン、あたしよ、リュウおばさん!あんた、療養でエンドフィールドに行ったんだってねえ?まったく、行くなら一声かけてくれたっていいじゃない。近所のおじさんもおばさんも、みんなあんたのこと心配してるんだからね!ミーガオを何箱かと、それから甘酒も、安思園のお嬢ちゃんに頼んで送ってもらったよ。全部あんたの好きなものだからね!甘酒は、先日おチビの誕生日に作ったばかりでね、あんまり日持ちしないから、早めに飲んじまっておくれ。 それから、あんたを一番可愛がってるシンおばさんが、どうしても上着を送りたいって。あの人、自分で縫ったのよ。あんたが帝江号にいるってわかってから、もう会う人みんなに「あんな所、寒いに決まってるじゃないか!」って、何が何でも荷物に入れるって聞かなくてね。 しかしまあ、次はいつ帰ってくるんだい。あんたは昔からじーっと黙ってるのが好きで、一日中座りっぱなしだったね。同い年の子たちと遊びもしないで、あたしら年寄りの手伝いばっかりして。それじゃダメさ!あたしらはもう年だし、ずっと一緒にいられるわけじゃないからね。おばさんの言うこと聞いて、そっちでもっと友だちをたくさん作るんだよ。あたし、遠くから見たことあるけど、ほら……管理人とペリカっていうお嬢ちゃん、2人ともいい子そうじゃない!話しかけられないなら、ミーガオと甘酒を持っておいき。エンドフィールドの人たちにも、おばさんの料理を味わってもらえば、そのうちに仲良くなれるはずよ! おばさんはあんたが大きくなるのをずっと見守ってきた。口数は少ないけど、本当は気配り上手な子だってちゃんとわかってるからね。あんたがどれだけ助けてくれたか、みんな忘れちゃいないよ。ほら、前にシンおばさんの娘さんの写真、持って帰ってきてくれたでしょ?あの人、大泣きしてねえ。娘さんが亡くなったときは、ちょうどあんたと同じくらいの年頃だったし、あんたを本当の娘みたいに思ってるのよ。あたしらも……おんなじよ。あんたはあたしら武陵の子だよ。どこへ行ったって、ここがあんたの家だからね。 あらやだ、しゃべりすぎちゃった……おしまいおしまい。そっちでちゃんと養生して早く帰っておいで。武陵に戻ったら、ごちそうをいっぱい用意してあげる!さっきおばさんが言ったこと、絶対に忘れるんじゃないよ。あと、できれば友達も連れて帰ってくるように! ………… あ、ちょっと待っておくれ!シンおばさんもあんたと話したい……って、また泣き出しちゃった。先にリンユエに荷物を送らせて、あとでシンおばさんにも音声を送らせるから。お節介なんて思わないでおくれよ……ああもう、急かさないで。みんなにも話させないと……ちょっと、バッテリー切れ……あっ…… 【発送記録】 差出人:リ・チーエン 受取人:リンユエ 発送元:帝江号 発送状況:発送済み 検査状況:検査通過 品目リスト: シモンクのショール 5点 イェルシェのそよ風 5本 星門パズル 3点 黒銀シトローム粉剤Ⅲ 10本 音声メッセージ: リンユエ……リ・チーエンだ。おじさんとおばさんたちが送ってくれた品は、全部受け取った。次からは、もう送らなくていいと伝えてほしい……帝江号には何でも揃っている。前に届いた分は、管理人たちにも分けたが、まだかなり余っている…… この前送ったショールを気に入ってくれたと聞いたから、後方支援部に頼んでまた少し買っておいた。皆に渡してほしい。それと、武陵にはない果物味の粉剤と、子どもたち用にパズルを入れた。 お金のことは心配しなくていい。他に使うあてもない。 そうだ、シンおばさんに渡すときは、エンドフィールドからだと言ってほしい。あの人に、いらない心配をかけたくないからな。
指揮官は、管理人だ。
応龍の名を、汚しはしない。
管理人を信じる。
すぐに向かう。
百の兵も、心中の一念には及ばない。
エンドフィールドの水準は低くない。
極限まで鍛え上げれば、どんな局面でも打開できる。
録画か……昔は繰り返し見ていた。それこそ寝ずに、ずっと。
任命、感謝する。隊長となってからは、こういう場に立つことも少なくなった……少し、不思議な気持ちだ。
エンドフィールドと宏科院の協力がより緊密になったということか。なら、次は宏山の応龍特殊部隊本部に連れて行ける。
褒賞より、もっと多くの任務を貰いたい。暇で楽な人生を過ごすのは苦痛だ……少しでも、管理人の力になれたらと思う。
応龍関で隊を率いていたときのことを思い返していた。武陵の一件に片が付き、胸にあったわだかまりや執着も気づけば消えていた……あの頃の私に教えてやりたい。管理人から褒賞を貰える日が来ると……話しすぎた。
応龍特殊部隊作戦隊長、オクギ。エンドフィールドに着任する――どんな命令でも従おう、指揮官。
心は鋳鉄の如く、行は剣先の如く。応龍の戦法は気勢を重んじる。
管理人に従い、管理人のために在る……私は、一振りの剣だ。
応龍の任務は多岐に渡る。与えられた任務なら、すべてやり遂げる。
管理人、ようやく手が空いたか……
遠くからでもすぐにわかった。どうした、新しい情報か?
代理人は私に興味がないのだと思っていた。ただ、封鎖区域に戻ってからは、態度が和らいだ気がしている。理由は理解できる……以前の私は、つまらない存在だった。帝江号で、会う機会があるなら……スー代理人には礼を伝えたい。
荒廃した砂の海、北の果ての雪原……帝江号からは助けを求める絶境の地がはっきりと見える。巨大な裂け目は、私の終着点ではなかった……私は、裂け目に囚われた地をすべて解放したいんだ。
当たり前のように武陵の山や水を眺め、武陵の料理を口にしてきた。今は、新しいことに順応し、考えもしなかったことを目の前にしている。地下深くから、管理人が連れ出してくれた……私にとっては、二度目の人生と同じだ。
いつも悪夢を見ていた。しかし、帝江号で迎えた最初の夜、目を閉じると悲鳴も訓戒の声も消えていた。夢の中にいたのはがらんどうの私……すると、声が聞こえた――君は希望を……少し、話しすぎた。
ここからはタロⅡのオーロラがよく見える。武陵北部の封鎖区域と同じ――眩い光の裏に、血塗れの傷痕を隠しているオーロラが。二度と、裂け目に大地を踏みにじらせはしない。
エンドフィールドには各地からオペレーターが集まり、優れた戦士も多い。しかし、本当に尊ぶべきは誰かのために身を差し出す覚悟と善意だ。「跂ちて望むも、高きに登るの博く見ゆるに如かざるなり」――ここに来て、背中を押された気持ちだ。
地元の特産品だ。別に、わざわざ用意したわけでは……ああ、そうだ。少し余ってしまっただけだ。
ありがとう。お礼は必ず用意する……いや、期待しないでほしい。どうやって贈り物を選べばいいか、よく……わからない。
不満は全くない。ただ、小さくて賢い相棒……噪雷が懐かしいと感じる時もある。来る日も来る日も過酷な訓練に明け暮れていた頃、側にいてくれた友だ。小さな咆獣だったのに、気づけば頼れる戦友となっていた。一緒に過ごした時間は長くないが、時々思い出す……それに、武陵の蟠獣も悪くない……そうだ、帝江号で獣が飼えるならば、隊の基準で躾けてみよう。
ミネとコトは、それぞれの強みがある。指揮はミネが一枚上手だが、戦闘ならコトの才が上回る。2人なら互いを補って、いつかは隊を任せられる――急にどうしたのか?いや……チェン・センユーを見て思った。私の目の前にも道が広がっているのではないかと……違う。別に……深い意味は、ない。
……奇遇だな、管理人。休みは1人で過ごすのが好きなんだ。静かな空間では、様々な気持ちが蘇る。故郷の皆や談剣堂、砂糖をまぶしたミーガオ……あまりにも心地よく、美しすぎる。人を鈍らせ、気を緩ませ、溺れさせる……だから、誰にも見られたくはない。しかし、よく考えれば……こんな姿になっているのは、管理人のせいじゃないか?なら、少し付き合ってもらってもいいな?
幼い頃、母は様々な髪紐で私の髪を結ってくれた。しかし、子どもの頃の私は、髪を結うのが好きではなかった。家に帰れば泥だらけ、結んだ髪はほどけて酷い有様だった。父は木の枝を使って天師の陣を教えてくれた。さっぱり理解していなかったのに、月明かりの下で梨の花を数え、母に見つかるまで遊び続けた……昔の記憶は、ほとんど残っていない。覚えているのは、些細なことばかりだ。
すまない、髪を結って貰いたい……髪紐は――分かるだろう。早くこの本を読み終えたいんだ。応龍関では、本や資料を読むことくらいしか気晴らしになることはなかった。髪を誰かに結ってもらうのは、いつぶりだ?……もう覚えていない。短く切ってしまおうかと思ったこともあったが、惜しくなってしまった。ありがとう……上手いな。私が髪を結うところを見ていたのか?……ん?どうした、そんな顔をして。
私は、皆が好む……いわゆる、流行というものがわからない。考えたことも考える時間もなかった。しかし、ゾアン天師にも「自分のための愉しみ、例えば趣味を探してはどうか」と言われたのだ。趣味……訓練は趣味ではないはずだ。パンさんに一芸を習うべきか?チェン・センユーのように一日中ご機嫌顔しているのは無理だ。ああいう人間の方が、稀だ……とにかく趣味探しは、これからの課題とする。
応龍を離れはしたが、緊急時にいつでも支援に行けるよう隊の基準で訓練を続けている。連絡を取り続けているとはいえ、私がいなくても任務は完遂できる。皆を信じている。
チェン・センユーがまた「手合わせをしたい」と……以前は、私がほとんど勝っていた。しかし、彼女は上達が早い……早すぎて、周りが落ち込むほどに。ただ、あの頃は私が一歩先を進んでいた。隊長の任に就いてからは武芸よりも別のことに力を割くことが多くなった。今の実力は……やってみないと、結果はわからないだろう。少し、血が騒いできたな……
ゾアン天師から封鎖区域の再建計画の写しが送られてきた。私が気にかけているとわかっていて……しかし、私は応龍としての責務がある。武陵にいようが、エンドフィールドにいようがそれは変わらない。武陵の人間として裂け目を封じ、故郷を奪い返した。それだけで十分だ。あとは、天師が集成工業システムの力を借り、きっと元に戻してくれるだろう……そのときに機会があれば、私も戻ろうと思う。
管理人、相談がある。武陵で私の面倒を見てくれた大人たちのことだ。昔は、いつ命を落としてもおかしくないような兵は、周りの人間と深く関わるべきではないと考えていた。後で辛い思いをさせるくらいならと、わざと距離を取っていたのだ。今は、少し申し訳なかったと思っている……こういうとき、どう埋め合わせをするべきなのかわからない。チェン・センユーに頼むか?いや、無理だ……管理人、時間はあるか……?
チェン・センユーが去ったあとも、思い出すことが時折あった。あれほど言葉と行動が一致する人間は、見たことがない。応龍には向いていなかった。しかし、彼女のほうが……信頼される存在になるだろう。日陰に生きる者あれば、陽向に立つ者も必要だ。私は、どの決断も後悔したことはない。もう一度やり直したとしても、必ず同じ選択をする。
他の髪紐を試したことはない。隊の仲間が勧めてくれたものはあったが……ありがたいと思いつつ、どうしてもこの髪紐でなければしっくりこないのだ。あれがどういう意味を持つか、管理人ならわかるだろう……ただ、そろそろ新調してもいいかもしれない。管理人、私たちが見てきた光景を表す色は、どんな色だろうな。
超域が人の命を呑み込み、耐え難いほどの絶望と恐怖が記憶に刻み込まれた、その瞬間でさえ……希望が、人と人の思いやりや見返りを求めない心があるのなら……我々が創造主とやらに負けることはない。それが、我々の存在する意味でもある。だから、胸を打たれるんだ……
得体のしれない敵だ……あいつのせいで、わからないことが増えた。私は言葉ひとつで管理人やエンドフィールドを疑うことはない。しかし、あいつの存在が文明地帯にとっての脅威であることは事実だ。もし、アンゲロス戦争で対峙した敵が再度現れたなら……約束してくれ。私を、敵を砕くための最初の剣にすると。
時間が、故郷へ帰りたいと願う気持ちを薄れさせることはなかった。想いは静かに溜まっていき、人々を家へと急き立てる――封鎖区域はもう「封鎖区域」ではなくなった。しかし、かつての姿に戻ったわけではない。失ったものも、戻らない。それでも、明日を見つめて生きていく……そう教えてくれたのは、管理人だ。
スー代理人は、俗世を越えた存在だ。これは決して比喩ではない。はるか昔、彼女は宏科院に力を分け与え、応龍特殊部隊もそのおかげで生まれた。名目上、応龍の指揮官という立場でもなければ、宏科院の役職にもついていない。あくまで「協力」という形で応龍を支えているのだ。隊員の中には、退役するまで代理人の顔を見なかったという者もいる。今回の任務では、やけに積極的だったが……
計画にない補給物資なら、安全性の担保が先だ。
重要物資を確認。指示を願う。
前方、任務実績情報なし。
敵を発見、監視継続中。交戦許可を求める。
鉱物の回収を最優先とする。
後方支援の一環か。
質の良い物資が補給出来た。
オーリレン……まずは回収だ。追って、特殊装置に入れて保管する。
侵蝕排除完了。通行可能。
小休憩完了。任務に復帰する。
補助準備、完了。
適切な治療判断だ。
慎重に行け!
命ある限り、終わらない……
こんなつまらないところで……
見事だ。
予想以上だ。この感覚を覚えておけ。
応龍なら当然のことだ。
我々の相手に妥協など通じない。
視界に捉えた。粛清する。
所定位置へ到達。共有を怠るな。
応龍に匹敵する戦果、申し分ない。
また一段階、上に行けた。
今後も同様の働きを期待する。
損耗は想定の範囲内だ。皆は良くやった。
勝敗は戦の常、躓こうと大したことではない。
破る!
穿つ!
陣で破る!
封じる!
陣に従え。
包囲の陣、配置完了。
援護位置に入る!
驚羽離れ、凝雲合す。
命を落とす運命――
次だ!
捉えた!
盈缺転じ、我を陣となせ!
天地三才、世を担う!
山海均し、嵐鎮める!